「失われた30年」を作り出した緊縮財政論
我が国は20年以上のデフレ(あるいはインフレがほとんど無い状態)が続いています(2021年9月現在)[1]
世界的に見ても他に例がありません。
我が国は20年以上のデフレ(あるいはインフレがほとんど無い状態)が続いています(2021年9月現在)[1]
世界的に見ても他に例がありません。
デフレが続くと経済は停滞します。給料も下がり、物価も下がり、企業は新規投資を渋るために技術力も時代から取り残されていきます。
これはプライマリーバランスを重視した緊縮財政論による国策が原因です。
緊縮財政論とは、政府の財政支出を抑えて収入を増やすという考え方です。
こう聞くと、何となく正しい財政運営なのではないかと思ってしまいますし、そう思わせるような報道や政府のアナウンスがされています[2]。
しかしこれは誤りです。
国の支出とは、実際は日本経済に必要な貨幣を供給しているだけのことです。経済が成長しようとすれば、流通する貨幣も増えていかなければなりません。さもなくばゼロサムゲームのもとで絶対的な敗者が生まれます。
国の経済は家庭の経済とは異なります。
最大の違いは、国は円という通貨を発行することができる点です。家庭ではお金を印刷して使うことはできません。
税金で国民からお金を徴収する行為は、一度日本国内に流通させた貨幣を回収する行為なのです。
例えばモノポリーゲームを想像してください。
ゲームの最初に、ゲームの持ち主がプレイヤーにお金を配りプレーが始まります。最初は6000ドルくらいからかもしれません。
4人の人間がゲームをしていたときに、例えば人数が増えたらどうしましょう?
当然、その人数に合わせてゲームの持ち主はお金を箱から出して配ります。
このとき、お金を配ったことによってゲームの持ち主に負債(借金)が発生することはありません。もし、本来お金を配る必要があるのに配らなかったらどうなるか? プレイヤーに回るお金は少なくなり貧しくなり、ゲームはつまらなくなって止めるプレイヤーも出てくるでしょう。あるいはもっと潤沢にお金がある別のテーブルに移ってしまうかもしれません。
日本では主に日本銀行が通貨を発行しています。
そのため、政府がお金を国内に供給しようとすると、政府が国債という形式上の負債を作り日本銀行がこれを買い取る形で政府は通貨を取得し国内へ供給できます。
しかし、これはいわゆる国(=政府+日本銀行)の負債ではありません[3]。
なぜなら日本銀行もまた国の一部だからです。
右のポケットから左のポケットがお金を借りても負債とは言いませんね?
ところが、税金徴収の担当省庁である財務省は、国の負債が増えて大変だというプライマリーバランス論をしきりに宣伝しています[2]。
誤った認識を国民に与えて、国民が貧しくなることを受け入れさせようとしています。
ひまわりの党では、過日に財務省へ抗議活動を行いました。今後も続けて参ります。
安倍元首相も、就任当初はデフレからの脱却が我が国の重要課題であるとの見解でした。そして財政出動を開始しました[4]。
しかし、アベノミクスともてはやされたのは過去の話になってしまいました。
問題は、途中から緊縮財政論を受け入れてしまい再び貨幣供給を抑えて税金を取る方針に転換してしまったからです[5]。
20年以上もデフレが続き賃金が伸びない国において、消費税は悪税と言わざるを得ません。
ひまわりの党では、今すぐ消費税の凍結・減税もしくは撤廃を進めるべきと考えております。
消費税は貧富の差を広げる税金です。
例えば年間に1億円を稼ぐ人にとってみると生活費は収入の15%程度かもしれません。消費税はその15%にしかかかりません。年収に占める消費税は1.5%です。
しかし、普通の労働者では収入の90%近くに消費税がかかります。
例えば、年収1億円の方に比べて年収300万円の方が貯蓄に回せるお金はごく限られています。
すると、ほぼ全ての収入に対して消費税がかかることになります。家賃などの例外はあったとしてもです。
収入の90%に消費税がかかったとしたら、年間で27万円もの税金を納めていることになります。年収に占める消費税は9%になります。
もちろん他に国税、地方税、健康保険料、年金などが徴収されますので、実際の負担は更に厳しくなります[6]。
国税庁の申告所得税標本調査、総務省の全国家計構造調査より作成[6]。
特に低所得者の社会保険料(健康/介護保険+年金)の割合が大きく生活を圧迫しています[7]。消費税だけではなく社会保険料全般の逆進性も是正しなくてはなりません。そもそも消費税が本当に必要なのか、所得税や法人税など他の税金とのバランスを再考する必要もあると考えてます。
お金持ちの人(消費税+社会保険料の割合3%程度)と比べると一般庶民は収入に対してとんでもなく高い割合(20%程度)を支払っています。デフレ対策は全く無視されていると言っても過言ではありません。
20年間以上もデフレが継続している国ですから消費税は凍結・減税もしくは撤廃し、健康保険料や年金掛け金などを軽減して国家が一部負担しても問題ありません。年1万%のハイパーインフレはおろか年10%以上の高インフレさえ起こりません。
実際、国民一人当たり毎月10万円(つまり年に144兆円)を2~4年間国が国債で財源を調達して国民に支払っても、インフレ率2%を維持できないとシミュレーションで予測されています[8]。ここで消費税10%分の税収は年間20兆円[9]なので、100兆円超の財政出動の用途の一環として消費税を一時的に凍結することは十分に現実的です。
一方、コロナ禍以前の平時ではデフレギャップを埋めるために年22~25兆円程度を追加で財政出動することが、元内閣参与により提唱されてきました[10]。デフレギャップの補填だけならばインフレは起こらないので、年22~25兆円はあくまで下限値と考えています。
仮に、この年22~25兆円を使って恒久的に消費税を撤廃すると2~5兆円程度しか残らないので実施できる国策事業は限られます。従って、一時的に凍結することは可能だとしても将来長きにわたって撤廃するのか減税でとどめるのか、そもそも25兆円以上に増やせないかなどを精査してまいります。もっとも、財政出動によって景気が良くなり税収が増える効果があるので、財政出動の余裕はさらに増えます。具体的に何兆円の余裕が出来るかの見積が必要です。
インフレ率2%は、健全な経済の成長を考える上での指標と言われています。日銀の黒田総裁も2%のインフレ率を目標にしてきました[11]。
長いデフレが続いたことを考慮すれば、むしろ一時的に5%程度のインフレ率になっても問題ありません[12]。ただし労働需給が逼迫して賃金が上がることによるインフレでなければならず、消費税増税による物価上昇や海外の資源高主導のインフレであってはなりません。
国が国民に永続的に定額の給付金を支払い続ける制度には問題がありますが、コロナ禍による経済的ダメージから回復するために給付金の配布を一時的に1年程度行うのも現実的な施策です。
しかしまずは消費マインドを冷やす消費税の凍結・減税あるいは撤廃、そして健康保険料と年金の逆進性是正を進めるべきではないでしょうか。
デフレから脱却し緩やかな賃金インフレを実現するためには、過去に日本の高度経済成長期に行われたようなインフラの整備や自然災害対策などを行うことです。また、高度先進技術の開発や情報インフラの拡充、国防、介護・保育職の給料増額などに国のお金を使い、経済を活性化させることが重要です。国民にただやみくもにお金を配る考え方は、国民が政府に依存することになり、日本の経済全体の発展には直接的に働きかけることになりません。
例えば、新型コロナワクチンを接種しない人には、国からの給付を減らしますということさえ起こりかねません。実際には、接種した人には追加で給付しますといった言い方になるでしょうが、結果的に接種しない人を差別的に扱うことになります。国民が政府に依存して収入を得ることは健全ではありません。
G20首脳会議(令和2年11月開催)でも、コロナ禍で弱った経済に対しては財政出動を積極的に行うことが重要であると言われました[13]。
日本もこれに従ってプライマリーバランス重視からの脱却が求められるのですが、実際にはいまだに財政健全化=プライマリーバランス論→緊縮財政論がしぶとく蔓延っています[2]。まずは大規模な財政出動により日本の経済を需要面から立て直して、緩やかな賃金インフレを伴う成長軌道に乗せる。成長軌道に乗れば税収も自然と増えます。そして国債の金利を超える成長が続くことで財政赤字も自然に解消されるのです。
ひまわりの党は、緊縮財政論に反対し、即時に日本経済の健全化のための財政出動=貨幣供給=消費税凍結・減税もしくは撤廃、健康保険と年金の逆進性是正、各種国策事業への投資を強く求めるものです。
消費税は2019年10月1日に8%から10%(軽減税率8%を設置)に増やされたここでは簡易的に一律8%を消費支出に乗じて計算した。消費支出は総務省の全国家計構造調査の値を用いた。
全国家計構造調査(旧全国消費実態調査) / 2019年全国家計構造調査 / 2019年全国家計構造調査 全国 家計収支に関する結果[家計総合集計]
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200564&tstat=000001139024&cycle=0&tclass1=000001150335&tclass2=000001150336&tclass3=000001150348&tclass4val=0
1-29「世帯の種類(3区分),世帯区分(4区分),世帯主の年齢階級(32区分),年間収入階級(44区分)・年間収入十分位階級(13区分)・五分位階級(6区分),収支項目分類(中分類)別1世帯当たり1か月間の収入と支出-全国」の総世帯
ただしこの調査での収入
全国家計構造調査(旧全国消費実態調査) / 2019年全国家計構造調査 / 2019年全国家計構造調査 全国 所得に関する結果[所得資産集計]
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200564&tstat=000001139024&cycle=0&tclass1=000001150335&tclass2=000001150336&tclass3=000001153349&tclass4val=0
3-20「世帯の種類(3区分),世帯区分(4区分),世帯主の性別(3区分),年間収入階級(44区分)・年間収入十分位階級(13区分)・五分位階級(6区分),所得構成(44区分)別1世帯当たり年間収入額-全国」
には、国税庁の「所得」に入っていない非課税の社会保障(生活保護や製麺保険の枠内で支払われる個人年金)も含まれている。従て補正をするために、全収入から「215_社会保障給付金(公的年金・恩給以外)」と「216R2_(再掲)個人年金給付」を差し引いて近似し、国税庁の表の所得階級に組み入れた。組み入れる際には各収入階級内で補正した全収入の平均値をとり、国税庁の表の所得階級内の所得平均値に内挿した。
また、全国家計構造調査の収入階級には2000万円以上が分けられていない。収入階級の区切りを国税庁の所得階級に直すと、消費支出は(補正した)全収入が500万円を超えるあたりからきれいな冪乗則に従うことが分かる。従ってスケールフリーの性質より世帯内の人数の影響は小さいと考えられる。このため、全国家計構造調査の世帯単位での収入と消費の関係を国税庁の個人当たりの関係にも読み替えることができると考え、この冪乗則を用いて外挿した。
また、年間収入200万円以下で消費税の負担率がもともとの税率8%を超えている。これは消費が収入より多いことを意味する。実際に全国家計構造調査では年間収入より消費支出の方が多い。統計に表れていない収入があるのか本当に赤字なのかは検討が必要である。横軸の「年収(公的年金含む)」は「215_社会保障給付金(公的年金・恩給以外)」と「216R2_(再掲)個人年金給付」を含んでいない。しかし縦軸の負担率の分母の収入には「215_社会保障給付金(公的年金・恩給以外)」と「216R2_(再掲)個人年金給付」が含まれている。